例えば、あるクラブのシャフトがRと表示されて
いたとする。
Rとは、Regularの頭文字なのだが(Sであれば
堅いという意味のStiff)、どのぐらいの堅さが
Rなのかについては、驚いたことに客観的な
基準は何一つ存在しない。
シャフトの固有振動数を測定するという方法は
あるが、測定方法が2種類あって、当てに
ならない。
要するに基準はメーカーによって異なるし、
たとえ同じメーカーであっても製品によって
全くバラバラなのだ。
このことを如実に示すいい例は、J’sメタル
事件である。
50歳を過ぎたジャック・ニクラスとレイ・
フロイドがこのドライバーをマスターズで
使用し、平均飛距離が参加選手の中で3位と
4位につけて話題を独占した。
このことがTBSの中継で再三に渡って紹介
され、尾崎のドライバーということもあって、
J’sメタルは日本国内で売れに売れた。
ところがこのクラブ、非常にハードなスペック
の代物だったのだ。
ロフトは、オリジナルロフトという計測方法
を採用していたため、9.5度という表示で
あっても実際には7度ぐらい。
シャフトも、RであってもS相当の堅さ。
それを知らずに見栄を張って8.5度のSシャフト
を買ってしまった人々は災難である。
6度のXシャフトをつかまされたようなものだ。
こんなクラブ、よほどの怪力の持ち主で
なければ打てっこない。
低い弾道のスライスを連発するごるふぁ~が
激増する結果となった。
その後メーカーはあわててやさしいスペックの
シリーズを追加リリースした。
2018.10.21
「ロフトは9度、シャフトはS」という
見栄が確かにありました。
大抵の人はこのスペックでした。
でも、並べて比べてみると、或いは、
打ち比べてみると、同じスペックのはず
なのにみなバラバラです。
一番売りやすいスペックだったのかも
しれません。
更に「飛ばす人はXシャフト」という
ステイタスイメージもあって、明らかに
振り切れていないのにXシャフトを
持つ方も多々いらっしゃいました。
それは試打もせずに高いドライバーを
一か八かで、昔は買っていたためだろう
と思います。
よさそうなイメージと結果がわからない
ための見栄優先です。
試打をいろいろし、測定もしてもらって
ということが当たり前になって、ようやく
見栄先行型クラブ選びも収まって来た
ように思います。
ちなみに、R・10.5度のクラブが適正な
方もS・9度に飛びつきがちであったため、
「このクラブ飛ばねえ。」と評判されない
ように表示をS・9度にしていたと聞いた
ことはあります。
そりゃ、当時のシャフトスペック選定は
混迷を極めたことでしょう。