元来は朝イチのティーショットに限り、
というものだったが、
のちに適用範囲が拡大され、
どのホールの何打目であっても
無罰での打ち直しをマリガンと
呼ぶようになったようだが、
そんな中、まさにマリガンの鬼
ともいうべき人物が現れた。
アメリカ合衆国の前大統領、
ビル・クリントンである。
大統領在任中のクリントンの
マリガン好きは、完全に常軌を
逸脱したものだった。
どのラウンドでも、ミスをする度に
「今のは無しにしよう。
大統領恩赦だ。」
などと生意気なことを言って、
気が済むまでマリガンを繰り返して
いたのだそうだ。
だから、彼のスコアはいつでも自称80前後。
調子が良い日は、75を切ることもあった。
アメリカの番記者たちは、彼に
”King of Mulligan”の称号を与えて
陰口をたたいたが、ご本人は涼しい顔。
ある日、クリントンとフォード元大統領に
ジャック・ニクラウスが加わって3人で
ごるふを楽しんだことがあり、
ラウンドを終えたところで記者が
クリントンにスコアを尋ねると、
「80」と申告。
近くに立っていたニクラウスは
苦り切った表情で、
「50回もマリガンやって、80だってさ。」
と、フォード氏の耳元で囁いたという。
2019.7.15
「大統領恩赦」という言葉は、
まあ面白いです。
ただ、ここで言う「マリガン」と
「意図的なスコア誤申告」は、
よく似ていると思います。
まず、それに手を染めだしたら、
いくら周囲に注意されようと止める
ことが出来ないという点です。
次に、その場の小さな名誉のために、
後々まで「あいつは・・・」と
ずっと言われ続けるという点です。
クリントンの任期は2001年までですから
20年ほど経っても遠く離れた日本で、
このように書かれてしまいます。
多分、200年経って、クリントンの名が
出なくなったとしても、アメリカのある
大統領は、という言い方でこの話自体は
ずっと残ることでしょう。
クリントンほどの有名人ではなくても、
特定の知人の名が出るたびに、
「あ~、あいつなあ。
いつもスコア誤魔化しゃがって。」
という話がいつまで経っても、
仲間内で出ること、ありません?
本人にとっては痛くも痒くもない
かもしれませんが、知人らの中には
その話が出るたびにイラッとした感情が
発生してしまいます。