ゆえに、
ティーグラウンドやグリーンの
脇に笛やラッパを持ち込むのは、
残念ながら無理だろう。
そんなことをしたら、選手から銃口を
向けられて蜂の巣にされるやもしれん。
ならばいっそのこと、野球とかでの
鳴り物等も一切廃止し、沈黙の中、
かたずをのんで一投一打を凝視する
というスタイルはどうか?
相当不気味なスポーツに豹変しそうでは
あるが、ライトスタンドのやかましい
声援を嫌って、
静かに観戦したいと思っているファンも
少なくないし、
投手や打者も今まで以上に集中力が
増すだろうから、かえって白熱した
試合が期待できそうな気もするのだが、
やっぱダメかしら?
時は1920年の全英女子選手権決勝、
17番グリーン上では、19歳のジョイス・
ウェザレッド嬢が5メートルのパットに
臨もうとしていた。
これを沈めれば、この当時無敵の女王と
呼ばれたセシル・リーチを大逆転で破って
優勝という、大詰めの局面である。
そこのごるふ場はコースのすぐ隣りに
鉄道が敷かれていて、ウェザレッドが
アドレスに入った時、
ちょうどタイミング悪く急行列車がやって
来て、グリーンからわずか30メートル横を
けたたましい轟音で通過し始めた。
これでは、勝敗を決める大事なパットも
打てっこない。
一旦アドレスを解いて、列車が通り
過ぎるのを待つだろうと見ている者の
誰もが思った次の瞬間、
ウェザレッドはよどみのない
ストロークを開始、ボールは見事
カップの底に消えたという。
ホールアウト後の彼女のコメントは、
「急行?
いつそんなものが通ったの??」
彼女は、本当に列車の通過に
気付かなかったのだそうだ。
まさに、恐るべき集中力。
ちょっとした物音や人の動く気配で
すぐにアドレスを解き、ギロリと睨み
つけたり怒鳴り散らすことしかできない
輩どもは、
彼女の爪のアカでも煎じて飲むべきでは
なかろうか。
2019.3.15
まあ、集中して物音が聞こえなくなる
という人の方が少ないでしょうから、
やっぱりそういう時は静かにしましょう。
ちなみにジョイス・ウェザレッドの逸話は
↓に。
ジョイス・ウェザレッド
恐るべきゴルファーです。