前のお話
猪又
おい、このラインはフックでいいんだな?
1カップか、もっとか?
半カップ。
猪又
本当か?お前、絶対失敗しないんだって?
あんたが失敗しなければ、私、失敗しないので。
蛭間
あれっ?どうしました?猪又君。
化石みたいに突っ立ったままで。
早く打ちなさいよ。寒いじゃないですか。
猪又
いや、打とうとするんですが、
手が、手が動かないんですよ。
内神田
それはイップスじゃないですか?
困りましたねえ、こんな寒い時に。
イップスの方とラウンドするのは嫌ですよ。
海老名
御意!
すぐに猪又は帰します。御意!
キャディさん、すぐにマスター室に連絡して、
直ちにこの人をクラブハウスへ搬送するようにって。
んっ?ちょっと待って。
この人、バンカーから出る時に足元がふらついてたよね?
ちょっとあんた、グー・チョキ・パー出来る?
猪又
だめだ。出来ない。
パターを離すことも出来ない。
もしもし、マスター?
至急、岡崎市民病院に連絡して。
すぐにヘリコプター、脳出血の患者かもって。
蛭間 え~っ!
内神田 え~っ?
海老名 え~っ!
私 え~っ。
落ちはどこへ?
明日早番だし、頭を冷やすため、 つづく
2018.1.2