預託金を預かり、その金額を額面に記載
したものが会員権であり、当コースでは
正式には「預託金預り証」と呼称しています。
その預託期間はコースによってさまざまですが、
預託金の償還期限の到来後は、請求があれば
それを返還する義務がゴルフ場側に生じます。
そして、償還を受ければ、受けた方は会員資格を
失なうという形になります。
古い名門コースのそれは発行が昭和初期で額面が
「伍圓」とかのため、誰も償還請求をせず、
償還期限後もそのままメンバーとしてだそうです。
が、バブルに向かう頃からの新規発行会員権は
預託金額が2,000万円とかも珍しくなかった
ということがあります。
それらが例えば15年で償還期限を迎えた場合、
ゴルフ場側には2,000万円×会員数の償還請求が
来ます。
1,000人ですと200億円になります。
集めたお金はゴルフ場の建設資金に使っており、
土日のビジターのプレー代が3万円という時代では
今はなく、ゴルフ場にはその現金が残っている
わけではありません。
ですので、
営業利益が出ていても償還期限が到来し、
償還請求が殺到すると償還しきれない。
⇒倒産。
償還請求したメンバーさんもしないメンバーさんも
預託金を取り戻せない。
⇒預託金償還負担の消滅したコースを
大手グループが買収。
⇒大手グループは預託金償還負担がないため、
料金を安くし、利益が出てるように来場者を
かき集めるという戦略になりがち。
⇒買収コースでも新規メンバーを募集するが、
そもそも低料金でビジターを集める戦略のため、
メンバーになってもあまり大事にされない。
というのが、多くのコースにおいて、ここ20数年で
起きてきたことです。
それによって保有コースをいくつも持つグループが
誕生しました。
当コースのように開場以来、経営母体が変わって
いないというゴルフ場はかなり少ないです。
当コースでも償還請求はありますが、経常利益の
中から順次償還としており、待って頂いている
メンバーさんもお見えです。
待って頂けるメンバーさんがいるからこそ経営を
続けられているということでもあり、それが
メンバーさんを大事にしようとする理由です。
また一方で、そういうメンバーさんがいるから、
なんとか全員に預託金償還の見込みが立つという
こともあります。
メンバーさんに足を向けて眠ることが出来ない
大きな理由です。
2021.8.4
まあ、私の家からは東西南北のどちらの方角にも
メンバーさんはいらっしゃいますので、
誰か彼かのメンバーさんには足を向けています。
また、そういうこと以前に、ゴルフ好きの方には
気持ちよくゴルフを出来る環境を提供したいという
気持ちが1人のゴルフ好きとしてあります。
私のホームコースの場合は、15年少々前に買収
された時、メンバーが預託金の12/13カットを呑む
ということが条件でした。
300万円の預託金とすると約277万円のカットで
残る価値は約23万円です。
100万円の預託金とすると約92万円のカットで
残る価値は約8万円です。
「ゴルフをやれなくなるよりは」ということで
多くのメンバーがその条件を呑んだのですが、
「あれはないわ。」と今でも思っています。
多分、ゴルフ場の建設ラッシュで儲けたのは、
建設した会社・不動産屋と、潰れたコースを
買い漁った大手グループだけです。
そういうコースでは、ゴルフ場を手放すこと
となった当初の経営者と預託金がパーになった
初期のメンバーさんの涙で池の水が満ちている
ような気がします。