「カーニバル」と、姉妹機「トリオ」を参考に、
どこをどうやって「ドンキホーテ2」が変態スペックと
呼ばれるようになったのか?
こちらは、3機種のスペック概要を表にした
ものです。
「カーニバル」と「トリオ」では、私は「トリオ」の
方が好きでしたが、市場では「カーニバル」の方が
はるかに受け入れられていました。
で、「ドンキホーテ2」はこうしたんですね。
「出玉6,000個」が一番の目的物であることは
間違いなさそうだけれど、「1/300」じゃ、
サラリーマンは打ち続けられない。
万札がどんどん飛んでいきます。
実際に私の万札もどんどんと飛んでいきました。
トリオの「1/260」はまだ当たりやすいけど、
「出玉6,000個」の可能性が減るし、
使うお金も劇的に減るわけではない。
「1/155」まで下げれば、会社帰りの
サラリーマンも、当たるまでの勝負を2回、
3回としてくれるかもしれない。
ということで基本設計はこんな感じにしました。
ただ、これだけであればダメだったと思います。
「当たりやすくても、玉があまり出ない。」
と思われかねず、それは実際、事実でもあり
ましたし。
そこで、次のような機能も加えました。
多分、ここが「変態」たる由縁だったと思うのですが、
1度「16R当たり」になれば、あとはずっと「16R当たり」。
最初に「16R」が出れば6,000個獲得決定
という部分ですね。
当たりだけでなく、ラウンド抽選でもお客さんが
一喜一憂します。
ええ、売れました。
余った部品処理で作った機械なのに、その部材を
使い切っても追加注文が入り続けました。
最終的に数万台でしたが、京楽の営業からは
「うちだったら軽く10万台は売ってる。」
と言われたそうです。
今はもっと弱くなってしまいましたが、私のいた
当時も弱小メーカーで営業が弱かったんですよね。
2021.5.26
これなら支持されるだろうと思ったのですが、
企画会議では開発一番のお偉いさんから「ボツ」。
「当たっても2ラウンドばかりがかなりある。
出玉も残らない。そんな台、売れるはずがない。」
彼は2年後、保留記憶を利用した連続予告を
勝手に自分の担当した「勝負伝説」に搭載し、
企業秘密だったそのやり方を他メーカーに漏らして
しまうことになった方です。
そして、その後もナナシーを始めとして、私の
関わる機械に対して「売れない」と反対し、
そのつど予想を外していくんですね。
一方で、「ドン・キホーテ2」のスペック。
「当たるたびに『16R来い!』と祈る機会が3回も
あるから、そこで楽しめる。
3回祈ってダメだったら諦めがつくし、
確率が甘いからきっとまた勝負してもらえる。」
そんな理由で反論し、すったもんだの挙句、
「僕は認めてないけど」という条件で、何とか
企画は通りました。
でも、入社2年目、おまけにまだ30代半ば、
そして、よりによって2年前まではお札を
数えていた元信金マン。
こんなのが開発の一番のお偉いさんに嚙みつく
んですから、そりゃ出世はないです。
でも、確率を甘くして、出玉にメリハリを付け、
運が悪ければ当たりなのに出玉「0」というのは、
今現在、主流の1つになっているスペックです。
20数年も前にそれを登場させ、時代を相当先取り
していた点が、当時は「変態スペック」という
言い方につながったと自分では思っています。
もう1つ言うと、これがボツになっていたら、
1億円越えの在庫は、多分、消えていませんでした。
そして、「ドンキホーテ2」の売上は100億円を
超えましたので、この売上も存在していません。
見極める能力のない方が権限を持つと、そして、
押すべき所を「協調性がない」とか言われ、
パワーに負けて引くと大変なことになります。
一部の上の人からの「協調性がない」だとか、
「自分勝手」「周囲を見ない」という言葉は、
多くの場合、実態を現わしているのではありません。
「俺の言うことを聞かないと」という脅しに加え、
本人の「協調性がなく」「周囲を見ない」「自分
勝手」な考えから出ているだけです。
そう、そういう人は実は彼自身がそうである
ことが多いです。