「改めて考えずとも、横綱になったんだから名力士」
という考えもあるとは思いますが、「横綱になった
から名力士」とは断言できない面もあります。
大関のままで終わっとけば名大関として名が残った
のに、狂い咲きのように2場所だけ大活躍して横綱に
なり、晩節を汚す力士もいます。
「弱い横綱」というイメージが残ると、
「名力士」という印象が薄まってしまうんですね。
もちろん強かったから「名力士」というわけでも
なく、大関・横綱に昇進できなかった力士の中にも
「名力士」はごまんといます。
鶴竜の一般的なイメージは、同時代に「白鵬」という
伝説級に強い横綱と、天才肌の「日馬富士」という横綱が
いて、3番手の横綱というイメージだったと思います。
そして、白鵬が45回も優勝し、優勝できる枠が少ない
中、日馬富士も9回優勝しています。
更に少なくなった同時代の優勝枠の中で、鶴竜は6回も
優勝しています。
中でも、横綱昇進後に5回も優勝しているという点が
特に素晴らしいです。
まぐれだとか突発事象で横綱になったような力士って、
横綱になってからが、なかなか優勝できません。
昇進後の5回の優勝は、鶴竜がまぐれで横綱になった
のではないということを示しています。
モンゴルの3力士、朝青龍、日馬富士、そして鶴竜は、
3人とも横綱になるなどとは夢にも思いませんでした。
平幕の頃は身体が細く、曙・武蔵丸などを見てきた
以上、彼らのような力士と互角に張り合えるように
なるとはとても思えませんでしたので。
が、朝青龍と日馬富士は性格も強気で、負けん気
剝き出しで番付を駆け上っていきましたが、鶴竜は
良家のお坊ちゃんらしく、そんな雰囲気は全くなし。
鶴竜こそは三役どまりと思っていたのですが、
掛け値なしの横綱になってしまいました。
驚異的な強さはなかったけど、下位力士に負けにくい
安定感がありました。
そして、解説をされるようになってから知りましたが、
人柄の良さと頭の良さがあります。
こういう親方に将来、理事長を務めて欲しいもんだと
思っています。
2022.11.27
素質も大事だけど、稽古・練習も大事ということは
相撲もゴルフも同じです。
上記のモンゴル勢とは反対に、大関・横綱にと
思った力士でも、並みの幕内力士どまりという
ケースは相当に多いです。
稽古する力士なのか、そうではない力士なのか
という部分は、私らではなかなかわかりませんし。
今場所で引退した千代大龍こと本名明月院秀政さん。
この方も、その出足の並外れた破壊力から大関ぐらい
にはと、普通に思えました。
が、残念、大関を張ることなく引退となりました。
前に出る馬力は凄かったのですが、ハムストリングを
鍛える気がなかったのかなあという気はします。
彼の相撲は毎日楽しみにしていましたので、大変、
残念です。
勝っても負けても、どんな取組でそうなったのかも
含めて、興味津々の楽しい力士でした。
名力士とは言えないけど、名物力士だったと思います。