引き続き、「坂の上の雲」からです。
「-原理と言うべきか-
制度上の健康な批判機関を持たない独裁皇帝と
その側近で構成されたおそるべき帝政にあると
言っていい。
この帝国は皇帝の気分とその気分に便乗する
側近たちによって極東侵略政策をおこし、
反対者であったウィッテらを追放し、ついに
日本を挑発した。
このため勝つための計画などはすこしもない。」
一方で、日本側。
「陸海軍も、その後のいわゆる軍閥のように『統帥権』
をてこにして立憲体制の空洞化をくわただてるような
気配はすこしもなく、
統帥上は天皇の軍隊ということでありながら、
これはあくまでも形而上的精神の世界とし、
その運営はあくまでも国会から負託されている
という道理がすこしもくずれていなかった。
この点、ロシアと比較してみごとに対蹠的で
あるといっていい。」
「坂の上の雲」は別に「ロシアの悪口」を主題と
している小説ではなく、主題は「太平洋戦争時の
日本の軍部の愚劣さ」だろうと思います。
それを際立たせるために、日露戦争当時の日本の
軍事組織を褒め称え、それがなぜたった二,三十年で
あんなことになってしまったのか?と。
まあ、ロシア、何百年も悪いまんま、何も変わりが
ないように見えますけど。
2022.4.13
自分が見てきたり、知ってきた中でもロシアほど
外部に軍隊を向けてしまう国はないです。
隣接する国々でその侵略を受けなかった国はない
と言っても過言ではありません。
中国、日本、朝鮮は無論、ポーランド、フィンランド、
スウェーデン。オスマントルコなど、数え切れません。
ですので、今回の件は、ロシアからすれば、
いつも通りのこと、「またまたやって来ましたよ~」
「お前ら、また来やがったの?」程度のことです。
国境を接してさえいれば、彼らはやって来て
しまいます。
なんだかんだと大義名分を押し立てて。
ただ、ロシアが特殊なのは、ロシア国民というよりも
その時々のロシア(ソ連時代を含めて)の圧政者が
それをやっちゃう、強制してしまうという点です。
司馬遼太郎氏はむしろ「一番の犠牲者はロシア国民」
とまで書いています。
今回の件も、実はウクライナの方々以上に、
ロシア国民が一番の被害者かもという気はします。
虐殺される人はもちろんつらいですし、納得できない
でしょうけど、それを命令され、それに抵抗できない
人々も相当につらいだろうなあと思います。
多分、戦争のつど、発生する多くの方々のように
生き残ったとしても精神をやられる方々が出て
きてしまいます。