松葉公園に向かう道中、ほんの2〜300mほど
ですが、本当に強い奴がいるのかいないのか
だけが、気掛かりでした。
それと、囲まれるのに慣れていたとは言えど、
ラグビーでは2人3人と抜くことは出来ても、
捕まれば1人でも、2人になら確実にOUTでした。
ですので、集団で来られると、さすがに無理
ということもわかっていました。
で、どうするか?を考えながら、松葉公園に
向かう途中、必死で彼らを観察します。
意外なことに小柄な連中が多く、大きいのは
1人だけ、他は私と同じぐらいか、小さい。
大きな1人は体格も良かったため、
こいつだけが問題と思っていました。
受話器を取り上げ、「バーカ」と言った
生徒です。
で、松葉公園に着き、
改めて取り囲まれた私が発したのは
考えに考え抜いた
『順番』に片付けてやるから、
『1人ずつ』、『順番』にかかって来いっ!
『1人ずつ』、『順番』になっ!
でした。
これ、剣豪が多くの敵と対峙した時、狭い路地に
入るだとか、狭い橋に逃げ、多数では襲えない
ようにした話から思いついたものです。
そしたら、驚いたことに彼ら、本当に縦1列に
なって、きちんと1人ずつで向かって来ました。
アホでしたね。
しかも、先頭は警戒していた大きなのではなく、
私と同じぐらいの背丈の細い生徒。
確か、最初に声をかけて来た生徒です。
足を絡めて倒そうとして来たのを払いのけ、
右パンチ1発。
「パンチ早いぞ!」
「気を付けろ!」
という声が飛び交います。
先頭の生徒も「足を絡めて地面に倒せば」
という思惑が外れた上に、一発もらっちゃって、
当惑していたと思います。
でも、こっちからすれば、足を絡めようとして
組んできた時に、相手が「たいして強かない」
ということはもうわかっていました。
そのため、「そうか、俺のパンチ、早いんだ」
と思いつつ、更に反動をつけてもう1発。
相手の7人のセコンド陣が私を勇気づけて
くれました。
更に更にと思った矢先、
相手が「ちょっと待って」と。
そして、8人で何やら相談の後、
「すみません。すみませんでしたっ!」
他の連中も全員頭を下げ、
「すみません。」
「すみません。」
「すみません。」
こっちが拍子抜けする結末となりました。
向こうは向こうで、取り囲みゃビビるだろう
という思惑が外れ、松葉公園に着く頃には、
既にパニックに陥っていたのかもしれません。
「どうする?どうする?
本当に付いて来ちゃった。」
と。
そして、本当に付いて来ちゃった時の経験も
実はなく、
『1人ずつ』、『順番』になっ!
と怒鳴られ、「そういうもんか」と思って
しまったのかもしれません。
2020.11.26
全員をときわアーケード街の公衆電話の所に
連れ戻し、
「先ほどは、失礼なことを言って、
申し訳ありませんでした。」
と、先ほどの彼女に電話で伝えさせました。
彼女、何のことかわからなかったらしいですが。
そして、彼らはペコペコしながら去って
いったわけですが、この話にはまだ第二幕が
残っていました。
闘いはまだまだ終わりません。
ちなみに松葉公園へ行く途中、別のことも
考えていました。
もし、勝てそうになかった時のことですね。
そんときゃ、逃げりゃ逃げ切れるだろうと
思っていました。
私、ラグビーでは、パスをもらって逃げまくり、
トライをするポジションでしたので、
逃げるのにはもっとも自信がありました。
決して、腕力に絶対の自信をもっていたわけでも、
頭が行っちゃってる高校生であったわけでも
ありません。