そもそも、ときわアーケード街で電話をして
いたのは、喫茶仔馬で同級生たちと待ち合わせをし、
早く着きすぎて時間調整をしていたためです。
メニュー名は忘れましたけど、チーズハンバーグ
サンドがあり、これを食べたくて仔馬には
よく通っていました。
じゃんけんで負けた奴が、「僕はたこ焼き」
だとか、「僕はかっぱえびせんをお願いします」
と、下を向きながら注文するのは、当時もありました。
メニューをオーダーし、アツアツのを食べようと
した矢先に、遅れてやって来た同級生が
「変な奴らが店の外でお前を呼んどるぞ。」
と。
(何かしら?)と思って覗くと、
さっきの8人に私服を着た変なのが2匹増えている。
さっきの8人が卒業したばかりの先輩2人を
連れてやって来たんですね。
(目ばっか目一杯見開いて威嚇してるけど、
ま~た弱そうなのを連れて来たなあ。)
と思いましたし、
(助っ人を呼ぶなんて、弱い奴の典型じゃねえか。)
とも思いました。
が、私はもう熱も冷めていて、
むしろ来たばかりのサンドに気を取られて
いました。
だって、早く食べないと冷めちゃいますので。
そのため、
「食ったら行くで、ちょっと待っとけ
って言っといてくれ。」
と伝え、そのまま食べ始めてしまいました。
そう言っておいて、中でゆっくりしていれば、
彼らも諦めて帰るんじゃないかと思っていました。
まさか、店の中にまでは突撃して来ないでしょう。
ただ、私らはあと10日もすれば卒業だったん
ですよね。
食べながら、
(ここで問題が起きると、一緒にいる同級生に
迷惑がかかるかもしれん。
ここは、1人でやるしかないかなあ。)
と思い直し、外に出ました。
まあ、ハンバーグサンドを全て食べ終えてですが。
が、外に出てみると、既に第二幕が始まりつつ
あったんですよね。
主役であるのはずの私、1人で全部を被ろうと
した私を差し置いて、勝手に始めてしまおうと
していた奴がいて。
そう、彼の存在を忘れていました。
知る限り、時習館史上、最凶のあの男。
2020.11.27
S高は弱かったという話にもなりかねないので、
少々、補足を。
どこにでも、そこそこだとか、結構だとかは
ありますが、強い奴ってのはいるんです。
そういう中でとてつもなく強いのが、
千代大海になったり、王貞治になったりします。
中学時代の千代大海は、「大分の龍二の名を
九州全土に轟かせ」だったそうですし、
王さんの場合は墨田区中に鳴り響きだそうです。
そこまで強くなる人はレアだと思いますが、
相対的に強ければなれるため、幼稚園時代から
ガキ大将が生まれ始めます。
小学校でふるいにかけられ、中学で更に
ふるいにかけられます。
中学も半ばを過ぎると、大方、強い奴という
評価を持った人間が何人か定まって来ます。
そうなると、彼ら同士は基本的には喧嘩を
しないんですね。
拮抗した同士でやってしまうと、共に無傷では
済まないし、認め合うという空気も生まれます
ので。
喧嘩が起きるのは、力関係を認識出来ない奴が
上のレベルに吹っ掛け、叩きのめされる時だけ
になります。
ですので、私の出身中学は11クラス、男子が
240人ほどいましたが、番長はおらず、強いと
認識されている連中が数人という感じでした。
彼ら、怪我するから直接、喧嘩はしませんが、
相撲だとかは、やたらとやりたがりました。
体育の時の柔道も絶好のチャンスでした。
柔道や相撲で相手の力を測っているんです。
そして、それで大体、取っ組み合いのレベルは
わかります。
S高は男子生徒が多かったため、強い生徒は
ちゃんといたと思います。
ただ、この場面に出てきたS高生はちとレベルが
低かったという話です。
徒党でないと来れないし、負けると相手が
1人でも助っ人を呼んじゃうし。
それにしても、1人だと思った相手が、
助っ人を2人呼んで戻って来たら、
相手はみるみる増えての5人増。
相当に驚いただろうと思います。
たった1人だと聞いて「よっしゃ!」と
勇んで来た先輩も詐欺だと思ったかもしれません。