稽古量と怪我は関連性がない。
あるとしたら、衝撃の強さと体重の重さ。
むしろ、可能性としては稽古量が多いほど、
確率の問題で怪我をするケースが増える。
今も昔も稽古量は力士、或いは部屋によって
違い、それは稽古を見ていなくても、腿の太さ、
肩回りの盛り上がりで大体わかる。
稽古をよくしている力士は今も昔もいるし、
足りない力士もまた今も昔もいる。
と、私は思っているのですが、昨日の話の続き
で言えば、
玉錦率いる二所一門は、神風・玉ノ海両名の
解説者時代、横綱だけで初代若乃花、大鵬、
玉の海を輩出しています。
この3横綱は名横綱と言ってよいと思いますし、
筋肉も相当に発達していました。
ですので、当時、解説者が
「今の力士は稽古が足りない。
昔の力士はもっと稽古をしていた。
だから、今の力士はすぐに怪我をする。」
と言っても、彼らには当てはまらなかっただろう
と思います。
今でも、二所一門である佐渡ヶ嶽部屋の力士は
稽古量が豊富なんだろうなあと思えますし、
若元春・若隆景の荒汐部屋も多分そうでしょう。
この写真ですとわかりにくいですが、両力士
共に僧帽筋(両肩と首の間の筋肉)の発達が
凄く、稽古量の豊富さを彷彿とさせます。
でも、若隆景は怪我で幕下に落ちていましたし、
若元春も今場所、一時休場していました。
ということは、両力士とも稽古量が足りない
んでしょうか?
一方で、千代の富士。
彼の全身これ筋肉の塊という画像と、実際の
取組を見てきた印象では、稽古が足りない
なんて考えられないです。
でも実は、千代の富士って休場だらけでも
あったんですね。
筋肉の鎧をまとう前はやたらと肩の脱臼で
休場を繰り返し、筋肉を付けた後の横綱時代
でも、「625勝112敗137休」。
休場率は15.6%で、休場場所率は20%。
即ち、5場所に1場所は休場しています。
その理由はそれだけ激しい相撲・稽古が理由
であり、稽古不足なんかが理由ではなかった
と思っています。
2024.5.26
大鵬もそうですね。
横綱時代、わざと口に水を含んだままで、
当時の4大関、佐田の山、栃光、栃ノ海、
北葉山と連続で稽古とか、
新鋭が幕内に上がって来ると、稽古場に
呼び寄せて徹底的に叩きのめすという
稽古の状況を子供の頃、聞いていました。
が、彼もまた、横綱時代、622勝103敗
136休で、休場率15.8%とかなり休場
しています。
彼と共に柏鵬時代を築いた柏戸に至っては
イメージとしては休場ばかりしているという
ものがあり、実際に407勝147敗140休。
昔も休場は多かったし、決して稽古不足
という理由ではなかったと思うんですね。