このシリーズ、思ったより人気のある
ようですので、もう少し書いてみます。
まあ、レジャー白書によれば1995年は
参加人口3,000万人、市場規模30兆円
だったそうで、まさに全盛期の頃の話です。
18才以上の人口を考えれば、かなりの
方々が親しんでいたとも言え、
興味を引くのは当たり前かもしれません。
「保留連チャン機なんて今でもあるじゃん」
と指摘される方もいらっしゃると思います。
でもそれを説明すると、例の何をやっても
報われない人をまたまた引っ張り出す必要が
出てきます。
当初の保留連チャン機
:市場でだけ保留連チャンするように何らかの
措置を施した遊技機
⇒社会的不適合機として撤去指導
現在の保留連チャン機
:遊技機を設計する上で認められている
確率変動の内、回数確変を使用したもの。
(4回のみ高確率としている)
回数確変、これは2004年の規則改正で
正式に認められたものです。
回数確変とは、定められた図柄変動回数
だけ確変が続くというものです。
「ST機」とも呼ばれます。
それまで認められていた確率変動には、
非確変図柄での当りで終了になるタイプしか
ありませんでした。
それでは遊技性の幅が狭いため、パチンコ
メーカーの組合で3社の代表が新しい確率
変動を模索していました。
で、例の人はその中の1つのメーカー代表
として参加し、射幸性など問題になりそうな
部分もクリアした上で回数確変を提唱します。
そして、これを3社の合意、組合の意見と
することに成功します。
ただ、組合のあるお偉いさんは煙たがって
いたんですよね、それを。
新しい提案・要望をすると監督官庁の
ご機嫌を損ないかねないと。
或いは、その提案者を何らかの理由で
個人的に嫌っていたからかもしれません。
そのため、本番の監督官庁への提案・要望の
会議が終盤を迎え、最後に彼が回数確変を
説明しようとすると異変が起きるんですね。
そのお偉いさんがその彼の説明を遮り、
担当官に謝礼を述べて、終わりの弁を
始めてしまいます。
唖然とした彼でしたが、担当官の
「では最後に、何かあれば。」
という言葉尻を捉え、追加説明の許可を
求めます。
もの凄い顔をして止めようとするお偉いさん。
その反応を見て各メーカーの代表者たちも
必死の制止。
(○○さん、○○さんと小声で何度も)
ドラマの一場面のようでしたね。
その騒然とした中、彼らの様子を目の端に
止めながら、許可を得た彼は大勢の中で
最後まで説明をしてしまいます。
本当にドラマみたいでした。
その結果、業界にもたらされたものは、
次の3つです。
①回数確変の正式認可
②市場に保留連チャン機が合法的に再登場し、
回数確変を使用したST機も大ブームに。
③市場規模は2005年に34兆円とピークを迎え、
参加人口の減少にもいったん歯止めが
かかることに。
一方で、当の彼にもたらされたものは次の
事項でした。
④組合への出入り禁止と所属会社での冷遇
彼は業界の救世主となったアイデアを考えて
推し進め、組合としての決議に従って
監督官庁への説明を終えただけです。
突然、組合決議に反旗を翻してそれを
妨害したお偉いさんの行動にも機転を
持って対応しつつ。
勝手に遮ろうとしたお偉いさんに非の
あるはずですし、彼の意図通りになって
いたら回数確変は誕生していません。
でも、この結末もまたドラマでしたね。
「半沢直樹」みたいでした。
半沢もまたいつも報われないです。
彼の不幸は更に続きますが、
「アグネスなんたら」とか、「仮面何たら」
とかいう機械で大儲けした某社さん達。
彼にお中元ぐらい持って行っても
多分、罰は当たらないと思います。
もちろん、組合の方々もね。
2020.8.5
2007年参加人口1,450万人、市場規模30兆円
というデータがあります。
1995年と市場規模は変わらないのに、
参加人口は半減ということになります。
1人当たりの使用金額が平均で倍になった
ということを示しています。
今でも、思います。
監督官庁の指導した内容では
客がつかないからメーカーが工夫
⇒それを社会的不適合機として撤去指導
⇒大企業と組んだCR機の普及に躍起となり
かえって遊技人口の大減少と依存症を招く
⇒CR機導入当初にはパッキーカードの
不正改造も招き、闇の世界に金が流れる
2017年には遊技人口は900万人まで減って
いるそうです。
今はもっとでしょう。
業界からすれば、「何をしてくれたの!」
という話です。
でも、アンチパチンコ・パチスロの方々
からすれば、経緯はどうあれ「ようやった。」
という話にもなります。
何事も悪いことばかりではありません。